MBAのSpringセメスターが始まった。今学期も17-19単位ほど取る必要があるが、前の学期と違ってCoreをあまり取らなくて良いので気が楽である。けれどもやはり頭を悩ませる(いや、実際起きている時間の8割はこれに割かれる)のは、リクルーティングの事である。
なぜ僕がリクルーティングに悩まされているのか、それには訳がある。
ピボットである。
僕は高校の時に、漠然と将来ビジネスがやりたいと思っていた。大学進学時に理一と慶応医学部で悩んだのだが、その時に慶応を選んだのは、「医学に行っても潰しが利く」と「医学を知っていれば競争を避けられる」と思っていたからだ。確かに、医学部に行った事でMBA受験などの競争からを幾分か避けることはできた。けれども、前者の「潰しが利く」という部分で悩まされて来た。
医学部はあまりにも専門性が高い。これは想定外だった。
例えば法学部や経済学部は、それだけでは専門性にはなりづらい一方で、新しい分野へ割とすんなりとピボット(転換)することが出来る。特に世間の目も厳しくない。一方で医学部は明らかに異質感が漂う。今ではコンサルや金融に行く人が増えて来たものの、やはり医学部出身であると「あ、MBA行っても医療系のビジネスやるんでしょ?」感が拭いきれない。文系→コンサル→MBAだと、専門性はない一方、こうした偏見もなくなる。
要は、ピボットに際してのハードルが上がるのだ。正直コンサルだと、なんとなく「企業の戦略に興味を持ち貢献したいと思いました」的な事を言っていればいいのだが(勿論競争は厳しい)、医学部出身だと、「え、この人は医学系のビジネス行った方が今までの強み活かせるよね?」という感覚をどうしても与えてしまう。それを払拭するのに説明する手間があまりにも大きすぎる。抽象度を上げて「私は人について考えてきました」というように説明するのは一つの手だが、言語能力が問われる。そのほかにはコンサルや他の職種を挟み、ゆっくりとピボットするのが考えられるが、時間がかかる。ただでさえ医学部は長いのだ。
「キャリアは繋がっているべきだ」というのは分かる。繋がりやストーリーが合った方が理解/共感しやすいからだ。けれども、人の感覚はそう論理的には出来ていない。多くのものが自然発生的に出現し、点と点を繋ぐのは振り返った時に行うのだ。Steve Jobs言う様に、点と点を前を向いて繋ぐ事は出来ない。けれども社会というのは、そうした論理的繋がりを求めている。これに競争が組み合わさった時、僕はあまりにその「誰も勝てないゲーム」に辟易してしまう。「仕事は楽しいかね?」にある様に、あまりにも多くの人が「平均以上になろうとして平均になっているゲーム」なのだ。そこから抜け出すには夢を見る必要がある。そうした際に祈りやスピリチュアリティを信じることが大切になってくるのだろう。ただ、それがいつ訪れ、助けてくれるのかはわからない。見えない道を「信じて」進むしかないのだ。とりあえずあと4ヶ月信じて頑張ろう。
P.S.
具体的には今、サマーインターンで苦しんでいる。僕はあまりにこだわりが強く、僕の根本的性格は医療の様な奉仕・保守的とは真逆で創造・革新的である為、そのギャップを埋めるのに精神をすり減らしている。人の感覚的な物や好奇心を刺激するプロダクトを作ることに関わりたいと思っていて、NianticでPMとして働きたいと思っている。けれどもその為には多くのハードルが立ちはだかっている。ソフトウェアARゲームカンパニーに元医者MBAがどうやってアピールできるのか?そもそもインターンは取っていない。自分に得意なのは言葉なのに、外国語でどう説得するのか。など多くの障害が壁として目の前にあり。まさに壁に直面した卵の様な気持ちを抱いている。でもこうしてNianticに惹かれたのはなんらかの理由があるんだと思う。見えない力を信じて、なんとか納得できる形で実現したい。