コロナにより良かった点は、身体性の重要性を再認識したことだと思う。やはり、画面越しの通話では伝わらないことが多いし、創造性は発揮できない。人間は感覚により世の中を認識する。今のデジタルはそうしたものを破壊する方向へ向かっている。Microsoft Teamsは生産性を向上するが、身体性という面では最悪だ。それもあり、AR/VR(特にAR)で人の感性を拡張することが僕の人生をやりたいことだと改めて気付いたのは良いことだった。
ただ問題は如何せんARの市場が立ち上がっていないことだ。ハイプサイクルでは一旦山をこえて、普及期に入っているように見えるが、実際にARとして3Dのインタラクションが浸透するには、ハードウェアの普及が先ん立つ必要があるだろう。そしてそれはおそらくグラス型(特に軽くてスタイリッシュな物)になる。MicrosoftはHoloLens2という完成度の高いグラス型デバイスを出して、実際にフロントラインワーカー向けでニーズを生み出しているが、あくまでB2B向けだ。B2Bは色んなデバイスが共存しやすい(今でも人々はスマホに加えてPCを使っている等)ため、最初の導入も簡単だが、全てを置き換える破壊性はB2Cと比べてない。
そして、自分のPMとしてのスキルをさらに磨く上で働く会社としても、まだまだ少ない印象を受ける。特にミドルステージ($100M-1B)クラスの会社が少なく、AR関連の殆どがアーリーのスタートアップかBig Techであるのだ。そんな中でもSnapとNianticは積極的にB2CのARサービスに投資しており、経験浅いPMも雇っている。僕にとってはまさにドリームカンパニーでここで数年働いて、Senior PMまで経験できたらその時は、完璧に自分の中で世界を目指してARに全勢力をかけて起業する準備が出来るだろう。
僕は理想から入る割合が高く、どうしても現実に落とし込む際に齟齬が出て、社会に適応できなくて溝に落ちてしまうことが多い。そうした点からすると、自分で力をつけて起業するのがベストだとは分かっている。けれども、その力をつけるという部分でどうしても社会と接点を持たざるを得ない部分もあるし、PMといった経験が大きく寄与する部分は入り込まないとどうしようも無い点がある。そうしたことを戦略的に考えて、ARという文脈で先を見据えている企業のプロダクトに携わり、エンジニアやデザイナーと関わりながらUSで英語を用いて働くことをしたいと思っているのだ。ただ、あまりにもPicky過ぎるが故に、一筋縄ではいかない。「目先の簡単な目標を達成して、それを徐々に時間をかけて次に繋げていく」という手段を取るよりも「完璧な理想を定めて、それにオールインする」という方法を取ることを好む性格が故に、それに至る過程で色々な拒絶や失敗を味わい、バーンアウトしかけることが多い。
けれども、今回のARでのPMは本当に心から求めているものだという確信が強い。頑張ろう。