今回は、僕を長年苦しめてきたかつアイデンティティの源となっている、片頭痛について書きたいと思う。
僕は幼少時(幼稚園)くらいからずっと片頭痛に悩まされてきた。ただ頭が痛いだけでなく、光に対する拒絶や天候に対する敏感性など、様々な意外と知られていない副作用ももたらしてきた。
そもそも医学的な話、有名な一次性の頭痛には3種類ある。片頭痛、緊張型頭痛、群発性頭痛である。
群発性頭痛は自殺頭痛と言われるくらい強烈なもので、1年の中で1ヶ月のみ発症したりとなかなか謎が深い頭痛であるが、ほか二つの頭痛と比べると保有率は格段に低い。
緊張型頭痛が、いわゆる「頭痛」といわれるもので、後頭部を中心に締め付けられるような頭痛を発する。パソコンなどの作業で肩がこると、そのまま僧帽筋の緊張を通して緊張型頭痛にいたることが多い。これは、温泉などで筋肉のコリが取れると改善することが多い。
そして、片頭痛であるが、これが緊張型頭痛(いわゆる頭痛)と違う大きな点は、精神変容を来すということだ。片頭痛が来る前やきている最中は、実は頭痛が辛いのに加えて、地獄のような鬱鬱感を感じる。これは医学的にもセロトニンの枯渇が原因とされている。セロトニンは脳内神経伝達物質で、「幸せホルモン」とも呼ばれている。鬱病患者はセロトニンの量が減少していると言われている。短期的であるが、その状態を経験するのだ。それが何より辛い。片頭痛の時もっとも地獄を見るのは、閃輝暗点が来たと分かった瞬間だ。多分だけれど、セロトニンの分泌の減少が始まっているのだろう。
そして、ここからは僕の仮説だが、その鬱々とした感じに対する防衛反応で、片頭痛を引き起こすような刺激に敏感になる。強い刺激、ストレスこそが片頭痛を引き起こすからだ。強い光、うるさい音、蒸し暑い気候、当直などの熾烈な環境など、こうしたものから解放された時にこそ実は片頭痛はやって来る。一難去ってまた一難というやつだ。そのためそもそもの原因であるストレスをできるだけ減らしたいという防衛反応が働いているのだと思う。
以前書いた僕の抽象化能力も、ある意味具体の処理というストレスを出来るだけ減らそうとした結果なのだと思う。片頭痛の人は美人が多く頭が良い人が多い。わかる気がする。
強い光が嫌なので、目つきがきつくなる。そして、片頭痛のせいで脳が常時興奮状態にあり、それを軽減しようと抽象化能力が備わる。結果美人で頭が良い人が出来上がる。(もちろん男もいるが、女性の方が保有率が高いので)
ただ、そのリターンと片頭痛(閃輝暗点ありだとなお酷い)による生きづらさを天秤にかけた時に、どちらが良いかは正直一概には言えない気がする。
片頭痛のお陰で頭は周り、どんなテストや技術も人の何倍も早く習得できるが、片頭痛に対する恐怖から常に怯え、思考はずっと回り続ける、そして周りとの話も合わなくなって来る疎外感など、「見えない」副作用は多いのだ。
まあ色々書いて来たが、片頭痛はもはや僕のアイデンティティの一部となってしまっており、切っても切り離せない関係になっている。同じ様に片頭痛に苦しみ、その痛みだけでなく、共感されづらい敏感な辛さを持っている人に届いて欲しい。
人の感性を開く大きな鍵になる気がするからだ。