自分の人生において大きな影響を与えるであろう、Unity CEOとの1on1が今朝終わった。ハワイ時間で11時から30分ほどZoomで話した。その時感じた印象や感覚といったQualitativeなものは風化してしまうので、今できる限りのことをここに記しておく。
結論から言うとその覇気に圧倒された。正直MBAに来て2年間多くのVPレベルの人や、もっと言うと日本にいた時から文明塾やJOMDDなどを通して経営者と関わる機会はあった。そして、今回はZoomということもあり、そこまで緊張しないで行けるとタカを括っていた。それなので、ある程度話すことのメモも取っていたし(自分のペースで進められると思っていたから)、タイムマネジメントも頭に入れていた。
けれども、始まって本当に数秒でそれが吹っ飛んでしまった。基本的にアメリカでは、見知らぬ人同士が始まる際は、アイスブレイクの様な意味のなさない内容に関して数分話すのが王道という感じになっている。例えば”How are you doing?” “Great, where are you staying?” “I’m in Hawaii.” “Oh that’s amazing.” みたいな感じだ。なので、最初はCEOの近況(旅行に行っていると言っていた)やらBerkeley Haasの思い出みたいなことで打ち解けてラポール形成をしようとした。しかし、始まってその口調や目つきから、そういう無意味なものはすっ飛ばして本題に入ろうという気迫が凄かった。また、僕自身も「この人の前では1秒たりとも下らないことを話してはいけない」という感覚に陥った。なんとか捻り出した言葉が”May I call you John?”であり、もうこの瞬間から自信の無い男全開の発言である苦笑
それもあって、最初のラポール形成をすることなく、本題に入ることになった。自己紹介と作ってきたピッチし、質問をすることになっていたが、完全に圧倒されて緊張し、十分に時間を取って伝える事ができなかった。MBA的なプレゼンであれば、一スライドにつき1分以内で述べるのが簡潔なプレゼンテーションだ。実際それはクライアントと話したり、プロダクトの発表などではワークする面もある。けれども、CEOとの1on1であると、彼の理解力と知識量が圧倒的であることもあり、一スライドに1分どころか30秒をかけるのも申し訳ないと思ってしまう。「相対する人によって時間は伸び縮みする」というのを改めて理解した。アインシュタインいうように、つまらない講義であれば1分は1時間に感じるが、可愛い子とデートしていると1時間は1分の様に感じる、という相対的な概念のことだ。それもあって、想定していた5分自己紹介+10分プレゼンもかなり凝縮して多分、半分のトータル7分くらいになったと思っている。本当に一流の人間の注意力を惹き続けるのは難しいし、その圧倒的な覇気の前で正確に物を伝える厳しさを実感した。
その後は僕のピッチに対するフィードバックを受けたわけだが、まあ英語が早く聞き取れなかったのも含め、明らかに全ての面で経験知識が上回っていることを思い知らされた。ヘルスケアの分野でも、僕が考えているよりも遥かにテクニカルな側面から市場を捉えて語っていたし、それを裏打ちする経験も感じ取れた。そんな人間の前で価値を出そうと思っていたことさえ恥ずかしくなるくらいの、能力差を感じ、他に用意していた質問なども殆どできずにあっという間に25分が経ってしまった。幸運なことに、レジュメは目を通して興味を持ってくれたみたいで、今卒業してビザなどがどういう状態で、Unityでの機会を検討してくれるとは言ってくれた。ただ、この短い30分間の中で、こちらから伝えられたバリューに手応えは全くと言って良いほど感じられなかった。
ワンピースの923話でルフィーがカイドウの雷鳴八卦で一瞬でやられた感覚に近い。自分自身、苦しみを経てある程度の覇気にも対応できると思っていたが、その覇王色の圧倒的量にしてやられたという感じである。覇王色の覇気を持っている人は日本でも幾らかはいた。カルビーの元社長の松本さんや、ダブルダッチのプレイヤーなどにもいたが、ここまで分厚くレベルの違う覇気を見たのは初めてであった。Johnは30以上年齢が上であるが、自分の人生をかけてもここまでいけるのだろうかと、初めてと言って良いほど怯んでしまった。
やはり経営者というのはリアルな戦いを自分の決断を頼りに生き抜いてきたこともあり、そのオーラが凄い。特にグローバルはその競争がさらに熾烈であることからも、醸し出す雰囲気も一段と凄いのだろう。こうした人物と1on1で話すことができた経験は、正直MBA2年で学んだどんな経験よりも強烈な物であった。特にこのコロナ禍で強烈な経験がしづらい中、この様な出来事を体験出来たことに感謝している。この事自体が何かに繋がるかはわからないが、今後もずっと自分の中でのGlobal CEOの立ち振る舞い、人を圧倒する力、緊張感、という定性的な感覚は残っていく。僕もこういう覇気を身につけられる様になりたいと直感的には思っているが、8時間経った今でも、心が圧倒されてしっかりと考えることが出来ずにいる。