過去あった強い流れが、急激に現在や未来に流入してくることがある。そうしたことが急に現実に起こると、とても心乱れた状態になり、まさに今それを経験している。

時は遡って中学、高校時代。僕は塾でとても好きだった女の子がいた。彼女は雙葉出身で、ミュージカル部に所属していた。育ちも性格も良く、とても可愛らしい子だった。僕のまさに初恋とも言える子で、高校卒業までの数年間ずっと片想いしていた。その時は本当に好きで、塾の間も彼女と一緒のクラスになれることを夢見ていたし、mixiなどでも足跡が付く事を心待ちにしていた。けれども結局その時は話しかけることは出来ず、合格祝賀会で二言三言話し、少し仲良くなっただけであった。その後、彼女の浪人中や大学時代に数回会ったが、僕はその頃は所属も違い、当時の初恋を忘れてしまっていた。

ひょんなことから去年夏に飲むことになり、そしてつい先週もカリフォルニアに来る直前に神楽坂のラ・ターシュというワインバーで二人で飲んできた。飲み始めは何も思っていなかったが、思い出話に花が咲き、雙葉の中学時代のミュージカルの話になった時に、急激に以前の懐かしさとドキドキ感が戻ってきた。正確には「夢から醒めた夢」という単語を聞いた時であったと思う。僕が初めて雙葉祭へ行った時に見たミュージカルが「夢から醒めた夢」であり、内容はもう忘れてしまったが、その時の心打つ感動は今でも覚えている。その時の雙葉祭の正門を入ってから抜けるまでの感覚は今でもありありと残っている。

その過去の記憶と初恋の存在が急速に僕の中に流入してきて、かなり心揺さぶられた。高校卒業から約10年経ったと言い、過去の初恋は強烈に僕の中に体感覚として残っている。一度は解きほぐれてしまった糸が、DNAの二重螺旋の様に、再び合わさって紡がれ始めたのだ。僕は、この再び合わさった流れは絶対に掴まなければならない、という直感をすごく感じている。論理では説明できないが、自分の人生に必要な人である確信があるのだ。

今まで多くの女性と出会ってきた。思い返してみれば、ネコのような気まぐれなファムファタールと関わることが多く、あまり幸せな恋愛は経験してこなかった気はする。今回僕の前に現れたのは、雙葉出身で、同じ医者というバックグラウンドを共有し、育ちも性格も良い日本人。僕が正に求めていた存在が現れたのだ。いや、元々いたのだ。長い時間を経ても巡り巡ってくるものはある。運命には変えられない流れがあるという感覚を手に、新たな地で、忘れかけていた夢を取り戻す旅を始めていきたい。

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